小口研治 田村まゆみ気まぐれ山日記27  2014年4月11〜13日百四丈滝 百四丈滝2014年初トレース

 白山一里野スキー場   4月11日 6:00

  白山麓 一里野スキー場、圧雪で残った残雪を

  踏みしめながらゲレンデを登る。


  クライアントの要望は、百四丈滝と青い空である。

  カンペキな気象条件の中で滝の光と影を

  4000万画素にペタリ貼り付ける事が出来て

  無事下山できれば仕事は終了です。

  2012年は青空に恵まれず、昨年は15時間の

  ラッセルも下降地点に新雪のクラックがあり下降

  断念、今回は念のため5〜6日に滝の様子を下見し

  好天のチャンス祈りながら3年目のチャレンジです。
 ユズリハ   残雪が消えた日当たりにユズリハの葉が

  朝日に光っていました、常緑で葉が垂れ下がる

  のが特徴で赤い茎が良く目立ちます。


  常緑の葉が少ない時期、料理屋さんの料理の

  下敷きの青葉に使われています。

  老いた葉は自ら落ちて若い葉に光合成の権利書を

  ゆずる事からユズリハ、相続がスムーズに行われて

  います。
柳の新芽     綿帽子をかぶった辛夷の新芽。
 しかり場への長い登り、今のところは雪も締まっていてアイゼンも良く効いています。
 しかり場登り
 しかり場先難所   しかり場先の最初の難所、ここ2年は雪庇側に雪が

  少なくて巻きましたが今年は雪が付いていてまっすぐに

  登ります、先週掘ったステップも残っていて快適に通過

  しました。
ステップ切    新雪の下の堅いクラスト斜面はステップを切りました。

  スコップで切ったステップは天神様の石段並み、

  後から登られる皆様にはちょっとスリルを欠いて

  しまって申し分けない、ご不満の方はどうぞ広い

  斜面ですお好きなラインを楽しんでください。

  良い条件に巡り会うためには初トレースは必須!しんどい所です。


  ※ 写真の位置は雪庇に寄りすぎています。アブナイ見本。
 マンサク   春にまず咲くマンサクの花。先週はせっかく開いた花も

  雪と氷に埋まっていましたが…。


 赤いマンサク   赤いマンサクです、このルートで数本見かけましたが

  ほかで見かけたことはありません。なぜ!黄色いはず

  のマンサクが赤くなるのか?べつに照れたり、恥ずかし

  がっている様子はありません、必ず理由があるはずです。
まず咲く、赤いマンサク    丸まって納まっていた花びらが開く様子が

  良く分かります。このような造形の妙に出会う事が

  ガラスのデザインに大きなヒントになっています。

  ヒントは自然から頂く、健康的な手段で情報は無料。
                     口長倉付近。しかり場辺りから気になっていたスキーのシュプール、ただものではないと思っていましたがやはり「ハヤカワマウンテンワールド」御一行様でした。

                     9日に白峰から白山を超えてハライ谷へ滑り降りるワンデー!このアップガウンの激しい尾添尾根、シュプールを見た限りとても楽しい滑りとは思いませんがそれにしても

                     超人達のスピードと行動範囲は凄すぎます。
      口長倉登り
                            口長倉まちがい尾根分岐の檜の巨木、上に向かい

                        極端に細くなり環境の厳しさが良く分かります。
 尾添尾根口長倉の近くで見たクロベ(ネズコ)中部地方には

 多いのですがこの尾根ではこの2本だけ目立っていました。
                         口長倉迷い尾根分岐の檜                                      口長倉のクロベ
 陽射しを浴びて登る   先週のラッセル地獄がウソのような快適な雪面

  の登りとなりました。しかし、強烈な日差しが

  照り付け暑い!
 風の造形雪の穴   あちこちで見る雪の穴、覗いて見ると底に低木が

  出ています、枝の形と地形で微妙な風による造形が

  為されるようです。
田村ガイド     絶好調の田村ガイド。 

  この時期の強烈な日差しは、発汗もあり

  休憩の度塗った日焼け止めの効き目も

  限界です。お肌 大丈夫ぅ〜。
 あと一登りで奥長倉避難小屋です、一日目終了  お疲れ様でした。
 奥長倉避難小屋近く

4月12日  4:00ヘッドランプの明かりをたよりに避難小屋を後に美女坂を目指します。

    ガリガリにクラストした急斜面、迷わずロープを出して安全を確保。
 避難小屋を後に登山開始       美女坂クラスト斜面
 朝焼けのシルエットに浮かぶ北アルプス、中央のとんがりが槍ヶ岳です。真逆から眺めるホームグラウンドの峰々
 朝焼けの北アルプス
 安心のロープ   美女坂のクラスト斜面、ロープの信頼感は絶大です。

  一般的にロープは絶壁を登る時に使用するものと

  思われていますが、絶壁も含めて安全のために使う

  ものです。

  ロープは使う、使わないより使える事…。

 美女坂登り後半   朝日が当たり始めた美女坂登り後半

  先週の新雪も落ちて岩肌が現れています。


  先週の景色はこちら
美女坂の美女     太陽を背に美女坂の頭 直下の美女?
白山の名の通り一面白、白、白、 雪庇を避けて下降点へ。

2012年この大雪原はガスと吹雪で視界の無い中、コンパスとピッケルのシャフトで方向を定めピンポイントで

下降点まで辿った干場ガイド、クライアントが思わず口にした「カミワザ」…。地形を知り尽くした技を見ました。
 下降点へ
 滝への下降   一面クラストした滑り台を慎重に降るメンバー、

  左下方に百四丈滝が見えてきました。
 大岩下   目印の大岩から下は厚さ4cmほどのクラスト、

  その下は深いサラサラパウダーで帰りのことも

  考えてクラスト面を崩しながらの下降となりました。

  とにかくトレースのクラストを崩して日に当てる事で

  雪が固まり登り返しが楽になると思いますが

  気休め程度です。


 干場メインガイド    あらら〜!見事大当たり。

  新雪の下には隠された空間がいっぱい!

  落とし穴にはまった干場ガイド。



  はまったついでに。

  問い合わせは当HP「お問い合わせ」

  または「北陸アルパインサービス」干場まで。
2014年4月初トレース2014年百四丈滝初トレース 百四丈滝巨大モンスター
 2014年百四丈滝です
 人物左の雪面のあばたは10m余りハングした縁に着いた氷柱の落ちた痕、直撃されたらただではす済みません、危険!撮影中気が気ではありませんでした。
 2014年4月12日百四丈滝
異形の滝壺です、滝の落差90mとされていますからモンスターの深さはたぶん60m以上落ちたらまず戻れません。
 百四丈滝クレーター
 びしょ濡れになりながらの撮影は必死です。
必死の撮影 
 滝壺の虹   近寄ると吸い込まれそうな滝壺

  覗いて見ると滝壺の中に虹が架かっていました。

  無雪期の虹の写真は見たことがありますが、この時期

  としては初めてです。

 百四丈滝 滝壺の虹    奈落の底、地獄の入口といった印象で怖い物見たさ、

  何回かチャレンジしましたがカメラもカッパもずぶ濡れ。
 何とか写っていました、この虹を見るには太陽の位置から午後になり当日の下山では見ることはできません。
 滝壺の中の虹 初撮影
帰りの時間リミットぎりぎりまで頑張り、あとはひたすら登り返しの大斜面をただ々無言で登るしかありません、

   思いは苦労して荷揚げした避難小屋のビール、ワイン、日本酒、昆布締めの刺身等々の力水、力飯。 腹減った〜。
 登り返し
 美女坂下   美女坂を下って一休み、あとは奥長倉を登れば

  避難小屋はすぐ。
 避難小屋 帰着    6:00 避難小屋 着

  2日目無事終了、お疲れ様でした。

  今日小屋には2パーティー7名が

  登って来ていました。

 朝の日輪   3日目 今日は降るだけ、ゆっくり起きて朝食、

  下山の支度をして外に出ると薄曇り、太陽に

  日輪が架かっていました。
 避難小屋を後に下山   避難小屋を後に下山です、アップダウンを繰り返す

  尾根の帰りもけして楽はさせてくれません。
イワガラミの枯れ花    雪の上に落ちていた枯れた花。

  たぶんツル性のイワガラミのものと思います?
イワガラミの枯れ花    落ちずに残った花の枝先には新しい新芽が

  顔を出しています、春です。
テンの'糞と笹寿司の葉    これには思わず笑ってしまいました。

  野生動物、たぶんテンの糞だと思いますが

  笹の葉は間違いなく北陸では有名な笹寿司を

  巻いてあったもの、紙を除けば捨てられる

  優れものです、北陸の山やの行動食の定番です。

  しかし、つい包んで持ち帰りたくなるように上手く

  してあります、参りました。
                そう言えば、奥長倉避難小屋で同宿していた単独行者、その時は気が付きませんでしたが下山途中に振り返ればはる遠くに姿を見て!早いね〜なんて話ながら

                下山していましたが、しかり場を降りきった所で追いつかれました、早い!しかし、写真を取りながらのろのろな私たちを若い彼はけして追い越すこと無く等距離を保ち

                私たちの休憩時を待って「トレースありがとうございました」と言って爽やかに去って行きました。ここから先は頼むぜと投げかけましたが余り意味はありません。

                しかし、覚えのある「ありがとう」に初トレース、激ラッセの苦労が 和らいだのを感じました。
 雪の回廊
 この雪の回廊を渡れば檜倉、一里野スキー場が視界に入って来ました。 3日間お疲れ様、ありがとうございました。
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