2017年3月25日 しくらめん文様ステンドグラスパネル修理 |
「小口研治ステンドグラス作品集」 美術出版社 刊 11ページ「しくらめんの窓」です。1998年作となって いますが、作品のサインを見ると前年、1997年4月 の制作です。昨年、所蔵されているお客様から修理 の依頼がありなんと20年ぶりの再会です。 |
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所蔵されているお客様には非常に気に入っていただいて いて、大事にされていることは伝え聞いておりましたが、 育ち盛りの元気なお子様にはかなわなかったようです。 印し部分が破損箇所です。 |
破損したガラスは3枚でした。修理の方法はいくつかありますが同じガラスか同程度のガラスを入れ替える事にして作業開始です。 |
通常、修理という事態も考え使用したガラスは 可能な限り残してありますが、黒いガラスはあち こちで探しましたがすでに生産もされておらず 手に入りませんでした。残念ですが同じグレード のアンティークグラスで修理を行います。 ステンドグラスのガラス素材は全て輸入に頼って いますが、20年前からすると廃業する制作工房も あって入手が困難になりつつあると感じています。 |
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修理の手始めは組んだガラスを外す事から、 半田で繋いだジョイントをナイフで切り離す 作業を慎重に進めます。 |
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組んだガラスを外し破損部分を取り出します。 | |
外したガラスピース、パテがしっかりと 詰め込まれているのがわかります。 パテは年数を経てゆっくりと硬貨するタイプで 強度を増しますが、これほどきれいに入って いるとは思いませんでした、このような事でも なければ自分の仕事は確認できません。 |
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きれいにパテが詰まっているだけにその クリーニングも一苦労です。 |
型紙の制作 保存してある原寸のの型紙からガラスカット用の 型紙を改めて作くります。 |
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保存してあった原寸型紙から3枚の型紙を書き写し。 |
同じガラスが見つかりました。 | |
カットしたガラスと型紙。 |
破損部分の鉛桟も新しく変えて組み込みです。 | |
しっかりと鉛桟を這わせ元に戻します。 | |
組み戻し終了。 | |
半田を流し、鉛桟を繋ぎ合わせて一枚のパネルとなります。 |
鉛桟に古美色をメッキしてほぼ終了。 |
かたちあるものは壊れる可能性を常に秘めているわけですが、ヨーロッパで生まれたステンドグラスの 歴史は修理の歴史でもあり、アンティークグラスが昔ながらの製法で連綿と作られ続けられている理由 がそこにあるのです。そんなことを思いながら20年ぶりに再会した作品が無事元通りに修復できました。 |
修理、修復の費用について、小口研治の作品は基本的に無料です。 お受け取り、お届け、素材等自実費のご負担をお願いしております。 |
2016年6月26日 山法師文様ステンドグラスパネル制作 |
4月にいただいたステンドグラスパネル作品の 制作依頼、どのようなデザインにするのか楽しくも 悩ましい所です。以前、毎年工房脇に顔を出す 月見草をモチーフに何点か作品に仕上げたことが あり、身近な花である山法師の花の咲くのを待ち ました。 月見草文様パネルはコチラ |
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同じミズキ科のハナミズキはまず派手に花が 咲き葉は後からですが、若葉の中に咲く白い 花は奥ゆかしく茶花にも使われるようです。 正確にには白い花びらに見える部分は総苞片 で、花は中心部のボツボツが花のかたまりです。 花を坊主頭と白い総苞辺を頭巾に見立てたのが 花の名前「山法師」の由来です。 |
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この奥ゆかしい花も今年はどうもあたり年のようで びっしりと花をつけている木が目立ちました。近年は 街路樹や庭木に人気で、まさに身近な花なのです。 |
ちょうど我が家の庭木も剪定の時期でもあり 手折った枝を簡単にスケッチをします。 |
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べつに見て画くこともないほどシンプルな 形ですが重なり具合が雰囲気を出すのです。 |
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スケッチを元に文様化して行きます。 パターン化することにより小品から大きな パネルまで対応できるデザインに仕上げ ます。 |
いく通りかのパターンと原寸の型紙が仕上がりました。ステンドグラスはあくまでもガラスの表現です、あとはガラスの選択次第で作品が決まるのです。 |
2016.6.6 山法師 |