山岳ガイド田村まゆみ 山岳ガイド小口研治 田村まゆみ山岳ガイドの山日記山岳ガイドの山日記b15山岳ガイドの山日記2  2015年6月/10月 雷鳥調査

 長野県 ライチョウ調査    2015年6月20日〜22日

  北アルプスライチョウ調査に参加

  しました。今回は蝶が岳(大滝山マデ)

  〜燕岳間を2グループで生息状況の

  調査でした。
 抱卵糞   ライチョウ雌の抱卵糞です。

  
この時期卵を抱いている雷鳥は

  通常より3〜4倍の糞をします。

  抱卵糞を見つければ近くに巣が

  あり卵を抱いていると推測できます。
北アルプスライチョウ調査   調査は常念岳から蝶が岳方面と

  大天井岳方面に分かれて調査開始。

  横通岳〜東大天井岳付近、この辺りは

  近年、サルの群れが多く住み着いて

  います。
ライチョウが捕食されたキツネの糞    登山道にはキツネやテン、サルなどの糞を

  多く見かけますが、これはキツネ、なんと

  糞の中に雷鳥の羽根が含まれていました。

  キツネにライチョウが捕食されている事が確認

  された瞬間です。矢印が羽根の芯の部分で

  す。他にも2例確認しました。
ライチョウの見張り台   ライチョウの雄が縄張りを守っています。
 長野県 ライチョウ調査   6月21日ハイマツの中の巣を確認。

  今年の調査は信州大学名誉教授 中村浩志氏

  を座長に長野県が行っています。
抱卵中の雌   ハイマツの中で卵を抱く雌。
  6個の卵を抱いていました。ライチョウは2日に1個、10日から2週間かけて卵を生み苔などげ覆い隠して置きます、

全部生み終わってから抱き始めるのだそうです、なるほど!いっせいに孵化して同じサイズで育てる…。
 ライチョウの卵
 ヒナを抱く親   6月の調査後、7月9日調査ルートを

  プライベートで歩きました。猛烈な悪天

  でしたが子連れの親子2ファミリーを

  登山道で見かけた雌、まだ体温調節が

  できないヒナを羽根の中で5羽を暖めて

  います。
今年生まれた冬毛の雌   10月27日〜29日

  再び、秋の調査です。抱卵期とは違い糞や

  縄張りの見張り台など痕跡が少なくてしかも

  この時期ライチョウは滅多に姿を現しません。

  真っ白な雪の環境に合わせて一足早く羽根が

  白い冬毛に変わって非常に目立つため猛禽類

  に狙われやすいのでハイマツに隠れて出て来な

  いのだそうです。


  ライチョウ調査はお天気次第、ドピーカンの登山日和など絶望的です。

例外的にどう見ても日向ぼっこをしていた今年生まれた雌が暖かそうな

岩陰にチョコンと座っていました。
 日向ぼっこ
 冬毛の雄   2羽の群れのようです、こちらも

  だいぶ冬毛に変わっています。

  午後、ガスがかかりようやく姿を

  現しました。 
  最終日、ライチョウ調査には最悪、絶望的なお天気です。朝4時30分出発、氷点下5℃を下回る中、辺りが明るくなる頃

巣を出る時に鳴く一声を求めじっ〜とたたずむその寒い事、穂高の峰々が薄っすらと雪に覆われればもう冬支度です。
 穂高連峰に薄っすらと雪
 
             山岳ガイド田村まゆみ山岳ガイド小口研治 田村まゆみ山岳ガイドの山日記山岳ガイドの山日記b15山岳ガイドの山日記2  2015年10月15日 島々谷〜徳本峠

 徳本峠歩道案内版   久しぶりに島々から徳本峠を歩きました。
 古道の様子   釜トンネルが開通する前、上高地に入る代表的な

  道として島々〜徳本峠〜上高地が挙げられます。

  江戸時代には杣人や猟師、役人や牛馬の放牧など

  多いときには400人余りも入山していたようです。

  一部崩壊している所もありますが昔の面影が各所に

  見受けられます。

小径
 
  登山道というより小径、登るというより歩く楽しさ、

  渓流に沿ってどこまでも続いているかのようです。
  谷を埋めた岳樺や桂の木々の黄葉。
 黄葉の小径
 流水落葉   流水落葉。
 山ぶどう   山ぶどう、甘酸っぱい味を楽しみました。
  岩魚留小屋の桂の巨木、桂は香の木「香いずる」が転訛したと言われています。
 岩魚留小屋の桂の巨木
 危ない橋   ちょっと危なっかしい橋、いつか落ちます。
 通行不能の橋   この橋は通行不能、苔むしていてきれいでした。
栃の落ち葉   大振りな栃の木の葉に覆われた小径。
コマユミの実   コマユミの実
サワダスも実   サワダスの実
 カエデの紅葉   カエデの紅葉 
  青空の映えるカエデの紅葉、赤から黄へグラデーションになります。
 カエデの紅葉と青空
 丸太の橋   整備された橋、岩魚留小屋から上流は

  自然木を利用したものが多く見受けられ

  ます。

  次の写真は、2007年岩魚留小屋〜徳本峠

  間の登山道整備に参加、この場所に架けた

  時のものです。
 倒木と壊れた橋   豪雨災害により倒木で真っ二つに

  折れ、流された橋。
倒木の利用   倒木を利用することにしました。
倒木を割る   チェーンソウで割る作業。
橋に利用   丸太が二つに割れました。
橋の完成   橋の完成です。上流部は大雨などで

  流される事が多く、恒久的なものより

  流されたら架け返すほうが現実的な

  ようです。

  
   ※2007年 岩魚留小屋〜徳本峠間の登山道

   整備はNPO法人信州まつもと山岳ガイド協会

   やまたみが担当しました。
 峠への登り   道は沢筋から分かれ最後の登りと

  なりますが歩きやすく快適です。
 ちから水   最後の水場「ちから水」で喉を潤し

  最後の登りに備えるのです。
 徳本小屋   徳本峠に着きました。島々の安曇支所から歩き

  始めて約7時間余りの行程でした。何より島々谷の

  紅葉は素晴らしく、歴史ある古道は趣きがあり楽しく

  歩くことができました。
  小屋からすぐの展望台からの眺めは最高でした、ウエストンも涙したと言われている穂高の峰々はもちろん

遠くは大天井から続く表銀座コース、パノラマコースの登山道がくっきりと見えたのには驚きました。
 パノラマコース遠望
 桂の落ち葉   この時期、桂の木は甘い香を振りまき

  その存在を主張しているかのようです、

  落ち葉もこの時期ならではの風景です。
 横尾への道と合流   横尾方向への道と合流しました、

  明神から50分ほどで上高地です。

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